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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……



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 この時期の忙しいリンゼイにとってジョシュアと過ごせるのは、就寝前の僅かな時間だけ。ジョシュアが就寝時に運ぶ紅茶を飲みながら話すのが、日々の疲れを取る一番の癒しの時間だ。


 リンゼイは寝台に凭れかかり、ジョシュアは寝台の横の椅子に腰掛け、淡いランプの光の中で会話を交わす。


 ジョシュアが長い時間リンゼイの寝室に留まる理由は、周囲にはリンゼイが軽いホームシックにかかり、本を読み聞かせしないと寝付けないと説明してあるらしい。


 子供っぽい容姿や兄姉から子供扱いされるのが不満だったが、今だけは幼い容姿に感謝したい。この容姿だから周囲も納得しているところがあるからだ。


「──良かった。国王さまも王妃さまも、殿下がカンターヌに同行するのを許可してくださったんですね」


 昼間、レオナルドが言い出したばかりだというのに、その日にもう国王たちから許可を得たとジョシュアが教えてくれたのだ。


「はい。許可はすぐに出たんですが、別の説得に苦労されてたみたいですよ」


「なにか他に問題でもあったんですか」


「ええ、この上なく厄介な問題が」


 ジョシュアは額に手を当てて俯き、表情が隠れてしまった。





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