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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……




「大丈夫ですよ。王妃さまは寛容な方ですし、むしろ障害のある我々の味方をしてくださると思います」


 ジョシュアがそう言うなら間違いないだろうと、リンゼイは頷く。


「それで王妃さまもご一緒に行かれるんですか」


「いいえ。レオ様が骨身を削って説得されました」


 骨身を削るとは……どれだけ苦労したか窺え、彼の尽力に感謝と申し訳なさでいっぱいになる。


「殿下にはすべてを終えたら、なにか感謝の品を贈らなければいけませんね」


「そうですね。……さぁ、リンゼイ様。そろそろお休みにならなくては、お身体に障りますよ」


 ジョシュアは立ち上がり、リンゼイが横になる介助をする。彼は上掛けを肩までかけ、リンゼイの髪をそっと撫でる。その心地よさにリンゼイは眼を細める。


 ジョシュアがランプを消す間際、リンゼイは腕を伸ばしお仕着せの裾を小さく引っ張る。


「あの……眠るまで手を握っていてくれませんか……?」


 また子供っぽいと笑われるだろうか……とも思ったが、過ごせる時間が短く、ホームシックよりもジョシュアシックになりそうで、リンゼイは控え目に訊ねた。


 




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