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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……



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 それから二週間。ジョシュアの身の振り方が決まらぬまま、帰国の日を迎えた。


 二夜に渡って催されたリンゼイの送迎パーティーの疲れを引き摺りつつ、寝台で眠るリンゼイにかけられる声に瞼を開ける。眠ったといっても、ほとんど寝たかどうか解らない状態だ。


 パーティーの最中、無理矢理笑みを作ってやり過ごしたが、ずっと不安で押し潰されそうだった。


 レオナルドに幾度も励まされ、ジョシュアも彼に任せておけばきっと上手く行くとリンゼイを力づけてくれた。彼らを信じていないわけではないが、父の性格を知るリンゼイは不安を拭い去れないでいたのだ。


「おはようございます。まだお疲れのようですね。あまり眠れなかったですか」


 ジョシュアがカーテンを開けながら振り返り、リンゼイの顔を窺う。


「大丈夫です」


 言い聞かせるように言うリンゼイは身体を起こす。その横にジョシュアは腰掛け、少し乱れる彼女の髪を指で梳いた。


「私にまで強がらなくていいんですよ」


「本当に大丈夫です」


 そうだ。いつまでも不安に思っていては、上手く行くものも行かなくなるじゃないかと、再度言い聞かせる。


 それに不安なのは彼も同じなのだ。




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