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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
「私も国境付近まで同行しますので、何かあればおっしゃってください」
父の前や、旅路の滞在先になるカンターヌの貴族の前にジョシュアは姿を見せるわけにいかず、カンターヌへ入る手前の滞在先まで彼も行ってくれることになっている。
そして一足先に帰るジョシュアは、レオナルドと合流したあとすぐに行動を起こせるように、ジョシュアはラインハルト中の領主で税金が滞っている者がいないか、治められる領地がないかなどを調べるらしい。
「はい。もう暫くは一緒にいられますね」
リンゼイは努めて明るく振る舞う。リンゼイもレオナルドと共にあの頭の固い父と戦わなければならないのだ。いつまでも沈んでいられない。
国王、王妃やライラたち使用人に見送られ、ラインハルト王城を出発したリンゼイたち一行。
旅は恐ろしく順調だった。──そう、四日目の朝までは。
旅の中継地にある子爵邸にその日の宿を借り、レオナルドも同行しているということで大仰なもてなしを子爵に受けてから、豪奢な部屋に通される。
次の宿泊地でジョシュアと別れることになっており、リンゼイは寂しさを覚えながら、けれど疲れから寝台に入ってすぐ眠りに落ちた。
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