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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう



「お、お姉さま! さっきからどっちの味方かわからないですわ」


「ふふ、ごめんなさい。そうじゃないのは私は知っているから」


 桃色の小さめの唇を尖らすと、姉は肩を竦めて笑った。





 16歳になって社交界デビューを果たしたリンゼイ。


 王族という家柄と、幼さは残すものの可憐な容姿から、たちまち社交界の華となった彼女。夜会に出れば入れ代わり立ち代わり、男性からのダンスの申し込みは絶えない。次の夜会への誘いの手紙は毎日のように王城にも届けられる。


 けれど当のリンゼイは、そのどの誘いもやんわりと断り、夜会やお茶会で出逢い親しくなった同年代の女性とばかりいるうち、“男嫌い”と噂されるようになってしまった。


 両親にもその噂は届いてしまっているようで、なにかにつけて、どうして誰とも踊らないのかを訊かれる。その問いにリンゼイは決まっていつも「踊りたい人がいないから」と答えていた。


 両親を困らせたり悲しませたりするのは忍びなかったが、踊りたい男性がいないのは本心だった。避け続けてもどうしようもないと解っていても。










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