この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……

「私なら心配いりません。一人でも父を説得してみせます。だから行って、ジョシュアさん」
ジョシュアと暫し視線が交わる。彼はまた瞼を閉じ、次開けたときにはリンゼイと同じく強い眼差しだった。
美しく気高いサファイア色の瞳にリンゼイが映るが、すぐにそこからリンゼイの姿がなくなる。
頬に触れていたリンゼイの手を引き寄せ、自らの腕にリンゼイの細い肢体を閉じこめたからだ。
「リンゼイ様。必ず……必ずお迎えにあがります。ですからそれまで私以外の男に、この身体に指一本たりとも触れさせてはなりませんよ」
「ジョシュアさん……」
初めて彼が約束をしてくれた。リンゼイを迎えに来ると。
泣きたくなるのを堪え、彼の広い背に腕を回し、肩口に顔を埋める。
「はい。お約束します。ジョシュアさんをずっと……ずっと待っていますから」
温かく、広い胸に抱かれ、未来を誓い合う。
固い絆を信じ、けれどどこまでも高い壁に阻まれ、脆さを孕んでいるものだと知りつつ、二人はそれぞれの険しい道へ進むため、一時離れることを決めた。
.

