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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……





 ジョシュアに手伝ってもらい、簡単な身支度を整えたリンゼイは、レオナルドの部屋へと急いだ。彼からも話があるとジョシュアから言われたからだ。


 到着すると既にレオナルドは出発の用意を終えており、厳しい顔付きでリンゼイを出迎えた。


「王女。こんなことになって申し訳ない」


「いいえ。……殿下。アリエッタ様はきっとご無事でいらっしゃしますわ」


 願いを込めてレオナルドを励ますと、彼は小さく頷く。そしてリンゼイに一通の手紙を渡した。


「これは?」


「王に渡してください。そこには私のとある貴族の友人が王女に求婚している旨を書いてあります。そしてスチュワートとの婚約を待っていただくようお願いもしてあります」


 レオナルドは更にこう付け加える。


 求婚している友人──つまりジョシュアは自分の密命を受け、ある事件の解決に奔走しており、今は挨拶に行けないこと。


 そしてその友人が解決しているのは国の機密に関わることであるため、名を明かせないことなども記してあるそうだ。


「手紙ひとつで王を止められるかはわかりませんが、前にも申し上げた通り、無視は出来ないはずです」


 レオナルドの心境を考えれば、ここまで冷静に手紙を書いたことが信じられないくらいだ。


 そして最後の最後まで自分やジョシュアのために力を尽くしてくれる感謝が溢れてくる。





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