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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……





 王城に帰ってきたリンゼイを迎えた家族や使用人たち。その中には嫁ぎ先からわざわざリンゼイの帰国の祝いに駆けつけてくれた姉・イレーネとスチュワートの姿もあった。


 彼の姿を認め、リンゼイは気が重たくなるが、どの道スチュワートにも婚約しないと伝えなければならない。嫌なことはいっぺんに済ませたほうがいいだろうと気持ちを切り替える。


「リンゼイ。無事の帰国何よりだ」


「はい、お父さまもお母さまもお変わりありませんでしたか」


「ええ。今日はリンゼイも疲れているでしょうし、身内だけの晩餐にすることにしたのよ」


「レオナルド王太子殿下も来られると聞いていて楽しみにしていたんだが、国からの急な報せで来られなくなったそうだな。ご立派になられているお姿が見られず残念だ」


「殿下はお父さまやお母さまによろしく伝えて欲しいとおっしゃってました」


 父母と挨拶を交わしながらもリンゼイは固い表情だ。


 父母の背後に経つ姉はリンゼイの話を聞きたくてウズウズしているのが見て取れる。スチュワートはなぜか勝ち誇ったような顔をしている。家族だけの場に呼ばれたことがそうさせているのだろう。


「リンゼイ。少し休んだら晩餐にしましょうね」


 リンゼイの体調を思い、母が解散を促す。それに倣い、その場に集まったそれぞれが、晩餐までの時間を思い思いに過ごした。




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