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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……

リンゼイの部屋までは姉が付き添った。
部屋に入るとすぐ、リンゼイに恋が上手くいったか訊いたきた。
「お姉さま、ごめんなさい。そのお話はあとできちんといたします」
リンゼイは決然と言う。リンゼイの留学や恋を応援してくれた姉に最初に話すのが筋ではあるが、リンゼイは一人で父に立ち向かおうと決めており、姉にはまだ話せないのだ。
姉にジョシュアとどうなったかを説明し、彼が今どんな状況にあるかを言えば、姉はまた自分のために動いてくれるだろう。けれど嫁いでいる姉はずっと傍にいてくれるわけではない。頼ることに慣れてしまえば、姉が嫁ぎ先に戻ったとき、父と立ち向かい続けるのが怖くなってしまう。
何よりジョシュアも今頑張っている。自分もここで自力で踏ん張れなければ、彼の隣に立つ資格がないように思えたのだ。
リンゼイの毅然とした態度になにかを察したのか、姉は「わかったわ」とだけ言い、晩餐の席で逢おうと言い残して部屋を出た。
(ごめんなさい、お姉さま……)
姉や兄のお蔭でジョシュアにもう一度逢いたいという夢が叶い、彼と結ばれることができた。
なのに真っ先に報告が出来ず、申し訳なくなる。
だが姉や兄の応援に応える一番の方法は、ジョシュアと幸せになることだ。それには最大の難関を超えなければならない。
リンゼイは休む間もなく、侍女を呼び付けた。
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