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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……




 父に続いて書斎に入り、扉を締めようとすると、兄と姉が滑り込んできた。


「お前たちは呼んでいない! 戻りなさい」


「そういうわけにまいりません。父上がリンゼイを殴ろうものなら、止める者が必要でしょう」


 兄の言葉に父は眉を寄せる。


「見くびるな。娘に手を挙げたりせん。いいから戻りなさい」


「お父さま、いいじゃないですか。リンゼイとの話を聞かせたくなかったのはスチュワートにでしょう? どうせあとからリンゼイに聞くことになります。手間が省けるじゃありませんか」


 今度は姉の言葉に父は唸る。父は逡巡していたようだが、仕方なさそうに姉たちがいるのを了承した。


「それで、王太子殿下の手紙に書いてあることは本当なのか」


「はい、すべて本当です」


「なんたることだ!」


 父は執務机を拳で叩きつける。


「殿下のご友人に求婚されているだと!? このようなことがないように、殿下にくれぐれもお前を頼んであったのに!」


「えぇっ!?」


 なぜか姉が驚愕の声を上げる。注目が集まり、マズイと思ってか肩を竦め、姉は口を噤んだ。







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