この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……

父に続いて書斎に入り、扉を締めようとすると、兄と姉が滑り込んできた。
「お前たちは呼んでいない! 戻りなさい」
「そういうわけにまいりません。父上がリンゼイを殴ろうものなら、止める者が必要でしょう」
兄の言葉に父は眉を寄せる。
「見くびるな。娘に手を挙げたりせん。いいから戻りなさい」
「お父さま、いいじゃないですか。リンゼイとの話を聞かせたくなかったのはスチュワートにでしょう? どうせあとからリンゼイに聞くことになります。手間が省けるじゃありませんか」
今度は姉の言葉に父は唸る。父は逡巡していたようだが、仕方なさそうに姉たちがいるのを了承した。
「それで、王太子殿下の手紙に書いてあることは本当なのか」
「はい、すべて本当です」
「なんたることだ!」
父は執務机を拳で叩きつける。
「殿下のご友人に求婚されているだと!? このようなことがないように、殿下にくれぐれもお前を頼んであったのに!」
「えぇっ!?」
なぜか姉が驚愕の声を上げる。注目が集まり、マズイと思ってか肩を竦め、姉は口を噤んだ。
.

