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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……

「まさかとは思うが、お前はその求婚を受け入れるつもりじゃないだろうな?」
「そのまさかですわ」
「ええっ!?」
決然と言うリンゼイの傍らで、またも姉が声を上げる。一体どうしたというのだろうか。姉が聞きたがっていた恋の行方は、この話だけでも上手くいったと伝わったはずだが……。
「イレーネ。さっきからなんなんだ。邪魔をするなら出ていきなさい」
苛立った父に姉は謝り、曖昧に笑い続けてと話す。
「……ともかく、それはどこのどいつなんだ」
「殿下の手紙に書いてあるように、彼は今密命を受け、とある任務につかれています。ですので今はお名前を明かすことはできません」
「この父にも言えないというのか!?」
「はい、言えません」
「どうせ碌な奴じゃないんだろう!? 名も言えぬような奴に娘が求婚され、認める親がどこにいる!?」
「あの方を侮辱するのはお父さまでも赦しません! あの方はとても優しく紳士的で、広いお心をお持ちですわ! それに殿下にも勝るとも劣らない優秀な方です。私が先にあの方に心を寄せたんです」
「な……!」
「ええぇぇぇっ!?」
「イレーネ! さっきからお前は……!」
「ご、ごめんなさい……」
ジョシュアを侮辱され憤慨するリンゼイ、そのリンゼイと姉に憤慨する父、なぜかいちいち驚いては声を上げる姉。その空間は混沌とし、一人だけ冷静な兄がその場を収めようと口を開いた。
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