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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……

父は深く息を吐き、リンゼイを見据える。
「……ひとつだけ聞かせてくれ。その者と、親の私に言えぬような疚しい関係になってないだろうな」
リンゼイはギクリとし、背中に冷たいものが走る。けれど表情に出ないようにし、父をしっかりと見返した。
「はい」
父に嘘をつく後ろめたさはあったが、すべて嘘というわけではない。なぜならジョシュアとの間に疚しいことなどなにひとつないからだ。
愛する者と結ばれるのは疚しくも、汚らわしい行為でもない。この人だ、この人だけだと思い、リンゼイはジョシュアに身を捧げた。
彼は打ち明けてくれた。最初のあの夜以前から、リンゼイに想いを寄せてくれたことを。
もしあの夜以降に彼の気持ちがリンゼイにあったなら、赦されない行為だったかもしれないが、今となっては互いに気持ちを確かめ合い、最初から気持ちも結ばれての行為だった。
だから父に顔向けできないことなどひとつもないと信じ、リンゼイは決然と言えた。
「……わかった。部屋に戻りなさい」
「はい。失礼します」
結局、兄の力を借りてしまったが、とりあえずは父が折れてくれ、胸を撫で下ろす。
リンゼイと一緒に姉も書斎から出て、無言で長い廊下を進んだ。
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