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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……

「その事情を説明しろ、と言っているんだ。待たせているからには、その責任があるだろう!」
「あら、お父さまは国の機密に関することを、他国の者にほいほい話したりされるんですか? こちらにはこちらの事情があると言って、説き伏せるでしょう?」
「この……! 余計な知恵ばかりつけおって! こんなことなら留学になど行かせるんじゃなかった!」
父は顔を真っ赤にし、この時喧嘩をしていた場であるリビングを出て行った。母も続いて父を慰めるために出て行く。
その場にいた兄がクツクツと笑っている。
「いやぁ、おみそれしたよ。父上に気弱だったリンゼイが口喧嘩で勝ってしまうとはね」
「お兄さま! 笑ってないで、お父さまを叱ってやってくださいよ」
リンゼイを批判するならいくらでも耐えられるが、ジョシュアやレオナルドを批判するのは聞くに堪えない。
「うん、リンゼイ一人で手に負えなくなったらね。それよりも……僕が気がかりなのはスチュワートだよ」
「……そうですね」
苛立っているのは父だけでなく、スチュワートもだった。
リンゼイが帰国してからすぐ、体調を崩し寝込んでしまったことにし、婚約の延期を申し込み、絶対安静の身のためリンゼイに逢うことも控えるように伝えてあった。
当初は彼も大人しく従っていたのだが……。
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