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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……




 一ヶ月もするとスチュワートの我慢はもたず、リンゼイはもう体調が戻った頃だろう、早く婚約の話を進めろ、リンゼイといつになったら逢えるのだ、とせっついてくるようになった。


 それでも体調不良を決め込み、なんとかやり過ごしていたのだが、彼は城に来てはリンゼイと逢わせろ、と騒ぐようになってきた。


 自分はリンゼイの婚約者だ、逢う権利がある、と。


 一番最近の出来事は、強引にリンゼイの部屋に押し入ろうとした。使用人が止めても、伯爵子息の権威を振りかざし、自分を止めるなら不敬罪で訴えるとまで言い出したらしい。


 スチュワートが騒ぐたび、最終的に止めたのは兄だ。


 部屋に押し入ろうとした際も、幸い兄が城にいたため事無きを得たのだが、この先必ず兄がいるとも限らず、スチュワートの暴挙にリンゼイは不安を募らせていた。


「お兄さま。前にスチュワートが婚約を急ぐのに訳があるんじゃないかっておっしゃってましたよね? あれはどうなりましたか」


 もし彼に裏があるならば、延期ではなく白紙に戻せる。そうなれば父も苛立たず、心置きなくジョシュアを待てるのだが。





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