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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
また一ヶ月の月日が流れ、王城はますます張り詰めた空気が包んでいた、そんな折。
通例となったレオナルドから手紙を届ける使者の中に、なんとあのライラの姿があった。
今回の使者は手紙の他に父に詫びの品を献上する使者団という大規模なもので、馬車から次々と献上品を運ぶラインハルトの使者たちの中にライラを見付けたときは、驚きのあまり飛び上がりそうになった。
リンゼイは侍女に彼女を連れてくるように頼み、自室で待っていると、暫くしてから侍女に案内されてライラがやって来た。
「ライラ! ああ……嘘みたい! あなたとカンターヌで逢えるなんて!」
「私もです! お話したいことが山ほどあるんですが、あまり時間がなくて……」
手を取り合って喜ぶのも束の間、使者たちが献上品を運び終えたら彼女は帰らなくてはならないと言う。
「でもよかったです。リンゼイ様が私に気付いて呼んでくださらなかったら、どうやって接触すればいいかわからなかったので」
「私がライラに気付かないなんてこと、絶対にないわ」
二ヶ月もの間、リンゼイによくしてくれた彼女を忘れたことはない。それに彼女はジョシュアのことを話せる数少ない人の一人だったのだ。リンゼイにとって思い出深い人物だ。
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