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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
「実は私、リンゼイ様にお逢いすることが出来れば、伝えて欲しいことがあると伝言を預かってきたんです」
「もしかして……ジョシュアさんから!?」
リンゼイはこの四ヶ月、ジョシュアとただの一度も連絡を取れていない。なぜなら、万一どちらかの手紙が父に渡ってしまえば、すべてが水の泡と消えてしまうからだ。
たとえジョシュアの名を書かず手紙などを届けさせても、その者に父の息がかかっていないとは限らない。下手に動けば、彼を窮地に立たせかねないのだ。
「はい。まずお伝えしたいのは、ご存知かとは思いますが、まだアリエッタ様が見つかっておりません。ですのでもう暫く耐えて欲しいとのことです」
「……アリエッタ様はご無事よね?」
「それはまだ何とも……」
ライラの表情が翳る。リンゼイの気分も落ち込む。
数度しか逢っていないが、知り合いが行方不明というのはやはり心配でならなくなる。リンゼイがこうなのだから、レオナルドやジョシュアなどはより心配だろう。彼らの心痛を思い、リンゼイの表情も翳ってしまった。
「ともかく、こちらではアリエッタ様の捜索を急いでおりますので、リンゼイ様ももう暫くご辛抱ください」
「ええ……。早く見つかることを私も祈っていると伝えてくれるかしら」
リンゼイの言葉にライラはしっかりと頷いた。
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