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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は
リンゼイはこのことを敢えて考えないようにしてきた。ジョシュアが迎えに来てくれれば、結婚できる。そうすれば民の期待にも応えられ、彼らの生活も潤う。
父も今の今までずっと言わずに我慢してきたのだろう。これを言えば、リンゼイを追いつめられると知りながら。
「お前には酷なことを言っている。この父をさぞや恨んでいるだろう。けどな、スチュワートも今大変な時期なんだ。支えてやれるのはお前しかいない」
スチュワートはこの一ヶ月、王城にまったく来ていない。それはまた彼の領地の鉱山で落石があり、その対応に追われているのだ。
不幸が起こり尚のこと、祝い事で民の暮らしや不満を安定させたいというのが、国の、そして父の考えだ。
「お父さま……。もう少し……もう少しだけでいいんです。待っていただけませんか」
「お前はまだそんなことを言っているのか? もう半年も待ったんだぞ。そいつはもう迎えに来ない」
「……ッ」
リンゼイは反論できなかった。したくなかったわけではないが、口先の言い訳は父にとって無意味だと知っていたから。
「……もう少しだけでいいんです。あの方を忘れる時間を私にください」
リンゼイにとって、これは苦渋の決断だ。身を引き裂かれるよりも、ずっと辛い……。
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