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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

芝生を踏みしめ、また一歩スチュワートが近づく。同じだけリンゼイは後ずさって距離を取る。
「い、いや……。こっちに来ないで」
リンゼイは怯えながら首を振る。
「どうしたって言うんだよ? 俺と逢えてリンゼイも嬉しいだろ?」
声色はひどく優しい。優しいが言い知れぬ恐怖を感じさせる声だ。
「お願い、こっちに来ないで……」
リンゼイはいやいやと首を振りつつも、もつれそうになる足で後ずさった。
「なんで……? なんでだよ! 俺がこんなにも愛しているのに!」
突如彼は叫ぶ。だが掌に顔を埋め、ブツブツと何かを呟く。スチュワートはどうしたというんだろうか……。
おかしいと思いつつ、彼が言った言葉に引っ掛かりを覚えた。
「私を愛してる……?」
「そう、そうだよ、リンゼイ。だから俺との結婚を早く了承してくれ」
「嘘よ!」
リンゼイは反射的に叫んでいた。
「なんでそんな酷いこと言うんだ!?」
「だって……あなたのは愛なんかじゃないんだもの」
スチュワートの異変はよく解らないし、恐怖もあった。だが彼の口から愛を語られるのがどうしても赦せなかった。
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