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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は




 愛とは互いを思いやる気持ちだ。


 リンゼイは今泣いていて、きっとジョシュアならまず真っ先に泣いている理由を聞いてくれた。自分がどれだけ大変な状況にあっても、いつだってリンゼイのことを考えてくれた。


 だがスチュワートは泣いている理由を聞きもせず、いきなり結婚を迫ってきた。


 彼の言う愛が結婚することであるなら、死んでも出来ないと思えた。


「あなたとは結婚しないわ。たとえこの場で八つ裂きにされてもお断りよ!」


「な……に!?」


 スチュワートは顔色を変え、突如掴みかかってきた。咄嗟に身を引いて、難を逃れる。彼は掴みかかった勢いのまま、地面に倒れ込む。その隙をついて、リンゼイは駆けだした。


 庭園を横切り、疾走する。ドレスのスカートが足に纏わりつき、転びそうになるのを必死で堪え、足を動かす。


 リンゼイの愛は、ジョシュアとの約束を守ることだ。彼は他の男に指一本たりとも触れさせるなと言った。だからその約束を守るのが、リンゼイの今出来る彼への愛を貫く方法なのだ。


「待て! なぁ、リンゼイ! それだけ走れるならもう結婚できるだろ!? 意地を張るのはよせ!」


 きっぱりと結婚しないと言ったにも拘らず、スチュワートはリンゼイと結婚出来ることを微塵も疑う様子はなく、叫びながら追いかけてきた。







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