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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

「いや! 絶対にいやよ!」
リンゼイも走りながら応酬する。
息が苦しくて、胸が潰れそうだった。食事を摂れない日々が続き、体力が落ちているのだ。
スチュワートの気配がすぐ後ろまで迫っているのを感じ、けれど足が千切れてもいいから走り続けなければと必死に足を回した。
「リンゼイ! 幸せにするから! な、俺の言うことを聞けばいいんだよ!」
もう彼の言っていることは滅茶苦茶だった。
リンゼイは息が切れ、叫び返すことも出来ず、尽きかけていた体力のせいで、ほんの少し走っただけなのに眼が霞む。
だが、誰か使用人でもいればスチュワートを止めてくれるのでは、と一縷の望みにかけ、刈り込まれた木々を縫い、花壇を抜け、道順も滅茶苦茶に走り続ける。
「おい、止まれ! リンゼイ!」
真後ろにスチュワートの声が聴こえ、リンゼイは苦しさに歪んだ顔で振り返る。
と、その時だ。
唐突に身体が傾く。なにが起ったのか一瞬解らなかった。
落ちていく……そう体感したときには、もう遅かった。
必死に走っていたせいで、階段があることを失念していた。
そう、あの日のように。
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