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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

景色が回る。スチュワートの手がリンゼイの腕を掠める。その手にリンゼイは縋ろうかとも思ったが、身体が拒絶していた。
この長い階段を落ちれば、リンゼイは無事では済まないだろう。だけれどそれでよかった。
スチュワートの手に縋り、ジョシュアとの約束を破るくらいなら、いっそ落ちて守り抜いたほうがいい。
リンゼイは僅かに笑み、そっと瞼を閉じる。遠い国にいる彼の声やその体温が、瞼を閉じればすぐそこにあるようで。
どんどん身体が傾きながらも、想うのはジョシュアだけだった。
「──リンゼイ様!」
ほら、声だって聴こえる。愛しいあの人の声が。幻聴を聴くくらい恋しい彼の声に、リンゼイはまた笑む。
だがその次の瞬間、ドンっと強い衝撃を身体に受け、ズザザザザ……と、なにかが擦れる音がした。
階段から落ちたわりには痛みはなく、しかも強く抱き締められている感触がする。
リンゼイが薄く瞼を開くと、黄金が降り注ぐ。
ああ……天国に来てしまったのか。
そう思ったが、輪郭がはっきりしてくるにつれ、リンゼイはその瞳を驚愕に見開いた。
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