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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は




「リンゼイ! これはどういうことだ!?」


 二人が抱き合うのを前に、呆然と立ち尽くしていたスチュワートが我に返り、怒鳴りつけてきた。ジョシュアは眼を眇め、リンゼイを抱えたまますくりと立ち上がる。


「それにそこのお前! いつまで俺のリンゼイに触れているつもりだ!?」


 スチュワートの矛先はジョシュアにも向けられ、ジョシュアに掴みかかろうとすると、その腕を彼は乾いた音を伴って払った。


「誰のリンゼイ……ですって?」


 ジョシュアのものとは思えない冷たい声色に、リンゼイは驚く。彼が怒りを露にするのを初めて眼にしたからだ。


「な……! お前……どっかで……。そうだ、思い出したぞ! たしかラインハルトの王太子殿下の執事じゃないか! 使用人ごときが俺になにをした!?」


 吠えるスチュワートをジョシュアは睨みつけ、黙らせる。


「ええ。元、ですが」


 低く唸るジョシュアはお仕着せではなく、貴族が着るような上等な上着にトラウザーズという出で立ちだ。そしてその胸には、黄金で造られた紋章が輝いている。


「今の私は……ザキファス公爵を名乗らせていただいております」


 ……え?


 リンゼイは声もなく、口を開いて驚いた。





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