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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

呼んだ兵によって連れて行かれるスチュワートの小さくなった後ろ姿を見詰め、リンゼイは胸が苦しくなる。
スチュワートのことは嫌いだった。だが本気で憎んだことはなかった。彼は傲慢な性格で、碌でなしだったが、あれでも幼馴染なのだ。彼の行く末を案じ、だが掛ける言葉が見つからず、言葉を交わせないまま連れて行かれてしまった。
ジョシュアも険しい顔をしている。奇しくもジョシュアとスチュワートは同じ伯爵子息であり、そしてスチュワートの家も爵位を剥奪されるだろう。その経緯は違うが、過去の自分を見ている気持ちになっているんじゃないだろうか。
重苦しい空気がリビングを包み、誰も彼もが声を発しない。
ややあって兄が口を開いた。
「……父上。スチュワートがこうなったから言うわけではありませんが、彼のことを認めてもいいんじゃないでしょうか」
「しかし……」
「彼は"大丈夫"ですよ」
兄と父の間で交わされる会話に着いて行けず、リンゼイは重い気持ちを引き摺ったまま聞き入る。
「ジョシュアは……公爵は、レオナルド殿下の任務をこなしつつ、僕に協力をするため、それこそ寝る間を惜しんで働いてくれてたんです。一時、自ら危ない役目まで買って出てね」
どういうこと? 危ない役目とは……?
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