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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

兄が言うには、ジョシュアは一時カンターヌにいたらしい。その理由はスチュワートが通っていた賭博場に客を装い、スチュワートの情報を集めるためだ。
もしスパイだとバレれば、命の危険だってあった。だが危険を顧みず、その役目を自分にやらせてほしいと兄に頼んだとのことだ。
もちろんその間もラインハルトの者と連絡を取り合い、アリエッタ捜索──兄には密命とだけ伝えていた──にも手を尽くしており、本当に休む暇などないと兄はひどく心配したとのことだ。
その話を聞き、リンゼイは胸がいっぱいになる。リンゼイひとりでは受け止めきれないくらいの愛を感じ、肩を震わせ声もなく涙する。
父は何かを考え込み、ジョシュアに問いかける。
「公爵、ひとつお伺いしたい」
「なんでしょうか」
「娘を……リンゼイを生涯愛し、守り抜くと誓えますか」
「はい、この命に代えても」
決然と言うジョシュアに、父はフッと肩の力を抜いて瞼を伏せた。
「まったく、男親というのは損な役割ですね」
兄が呟くように言う。
「リンゼイ。父上はね、イレーネのときも同じ質問をしたんだよ」
「え?」
「ジュド、よさないか」
罰が悪そうに窘める父に対し、兄は肩を竦めるが、話を続ける。
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