この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

「父上の持論ではね"女性は愛するより愛されるほうが幸せになる"んだって」
リンゼイはきょとんとして父を見遣る。
では父がスチュワートとの婚約を強引に進めようとしていたのは、彼がリンゼイを本気で愛していると信じ、リンゼイのためを思ってのことだったというのか。
堅物で古臭い考えで、国を第一に考えているだけだと思っていたが、実は隠されていた想いに気付き、父にこれまで酷い言葉を投げていたことを振り返り、忸怩〈ジクジ〉たる思いになる。そして父が父親として愛しく思え、子供みたいに抱きつきたい衝動に駆られた。
「でも父上も今回のことでよくわかったんじゃありませんか? 愛されるだけでなく、愛し合う相手と結ばれるのが一番幸せなんだって」
「うむ……」
父はリンゼイの顔を見詰める。泣き顔だが、幸せそうに眼を細める彼女の顔を。
「私も、そしてこの国も変わるときがきたようだな」
寂しそうに、けれどどこか満足そうに父は微笑む。
「公爵。どうか娘をお願いします」
頭を下げ、最愛の娘をジョシュアに託す姿は、国王の陰はどこにもなく、まさに父親そのものだった。
.

