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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
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「な、なんだって!? もう一度言ってくれないかい?」
リンゼイの部屋から出たイレーネ。向かった先は彼女のひとつ上の兄・ジュドの部屋を訪ねた。そして兄にリンゼイの気持ちを告げ、協力してくれないかと要請しに来たのだ。
緑を基調とした室内は日当たりがよく、父と母の寝室に続く広さがある。葡萄と蔦の緻密な絵柄が施された壁紙は汚れひとつなく、白い天井は高く、広さを一層際立てている。大理石で造られた暖炉は暖かな気温が続く今は火は入れられていない。
置かれる調度品はどれも高価なもので、代々王家に受け継がれてきたものだ。何気なく置かれるダイヤモンドの原石はなかなか採れない大きさで、磨き上げれば邸がいくつも買える値段になる。
部屋の中央に据えられる応接セットは重厚な木製のもので、長椅子の背凭れは濃緑のベロアが張られ、長椅子には青緑の艶のあるクッションがいくつも置かれている。そのクッションに背中を預けず、イレーネは背筋を正して再度兄に訴えた。
「ですから。リンゼイは想う方がラインハルトにいるんです。それでその方にリンゼイの処女を奪ってもらえるよう、お兄さまにも協力して欲しいんですわ」
「イレーネ……。本気で言っているのかい?」
「冗談で言っているように見えます?」
「見えないから聞いているんだよ……」
対して兄は、クッションに背中を埋めるよう項垂れた。
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