この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は

「私はこれまでたくさんの大切なものを失ってきました。でも決めたんです。もう誰にも私の大切なものを奪わせやしないと。だからリンゼイ様。私から最愛の人を奪わないでいただけますか」
ジョシュアはそう言いながら、リンゼイの手を指を絡めて握る。
「どうかこの手を離さないでいただけますか」
彼はその甲を愛おしそうに口づける。
リンゼイは甲に触れる優しい感触に胸を震わせながら、彼の首にしがみついて。
「はい……! 離しません。もう二度と……!」
赦されない恋だと思っていた。結ばれる未来など来ないと思っていた。
──奇跡でも起きない限り。
だが起こった。そう……どんな物語よりも素晴らしい奇跡が。
多くの人に見守られ、リンゼイとジョシュアは並んで粛々と歩く。
誰にも言えない恋だと思っていた。けれど大勢の人々が二人の結婚を祝し、神の前で愛を誓い合うことができた。
ベールを上げ、人前でキスをする。少し前のリンゼイには考えられなかった出来事に、やはり夢見心地で愛する彼を見上げる。
ここまで来るのに楽しいことばかりではなかった。苦しいこともあった。不幸になった人も見た。
だがそれでも諦めず、彼も自分を諦めなかったからここまれ来れたのだ──。
.

