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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は



「私はこれまでたくさんの大切なものを失ってきました。でも決めたんです。もう誰にも私の大切なものを奪わせやしないと。だからリンゼイ様。私から最愛の人を奪わないでいただけますか」


 ジョシュアはそう言いながら、リンゼイの手を指を絡めて握る。


「どうかこの手を離さないでいただけますか」


 彼はその甲を愛おしそうに口づける。


 リンゼイは甲に触れる優しい感触に胸を震わせながら、彼の首にしがみついて。


「はい……! 離しません。もう二度と……!」


 



 赦されない恋だと思っていた。結ばれる未来など来ないと思っていた。


 ──奇跡でも起きない限り。


 だが起こった。そう……どんな物語よりも素晴らしい奇跡が。





 多くの人に見守られ、リンゼイとジョシュアは並んで粛々と歩く。


 誰にも言えない恋だと思っていた。けれど大勢の人々が二人の結婚を祝し、神の前で愛を誓い合うことができた。


 ベールを上げ、人前でキスをする。少し前のリンゼイには考えられなかった出来事に、やはり夢見心地で愛する彼を見上げる。


 ここまで来るのに楽しいことばかりではなかった。苦しいこともあった。不幸になった人も見た。


 だがそれでも諦めず、彼も自分を諦めなかったからここまれ来れたのだ──。






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