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王女様の不埒な暴走
第12章 エピローグ



 どうしたのだろうか、と見ていると、ジョシュアは口を開く。


「ところでレオ様。執事のことですが、ひとつ申し上げたいことがございます」


「ん? なんだ?」


「クビ、とのことでしたが、当分の間は公爵位とレオ様の執事を兼任させていただきますので、ご了承ください」


 一同が驚いてジョシュアを見詰める。


「は? 兼任ってどういうことだ」


「当然だと思いますが。まだ次の者に引き継ぎもしておりませんし、色々と教えることもございます」


「そんなの誰かがやるからいい」


「誰とは誰のことですか。アッシュブラン邸のことだけでも覚えることは山ほどありますのに、加えて王城での仕事も覚えなくてはなりません。誰がそれを教えるというのです」


「いや、それは……」


「それに、最も重要かつ重大な仕事は、私にしか教えることはできません。もちろんそれは、あなたの扱い方についてですよ」


 レオナルドの扱い方が重要で重大な仕事……? だがジョシュアは冗談を言っているように見えない。どうやら至って真面目らしい。


 レオナルドは盛大な溜め息を吐く。


「……ったく。もう暫くこの口煩い奴と一緒か」


 悪態をつきながらもどこかレオナルドは嬉しそうで。ジョシュアもああは言っているが、少しでも長く彼の傍にいたいのかもしれない。


 そう思うと少しだけ妬け、けれど二人の変わらぬ絆に胸が温かくなった。





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