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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
まだ幼い時分には幾度となく髪を引っ張られもした。いいものをやるからと手を出した際には、カエルを乗せられたこともあった。
花をくれたときには大きな虫の幼虫が潜ませてあったときには、虫が苦手なリンゼイは卒倒した。
ダンスのレッスンに付き合ってほしいと頼まれたら、気分が悪くなるくらい振り回されもした。
狩りに無理矢理連れて行かれたとき──リンゼイはもちろん猟銃などは持たないが──スチュワートの射止めたぐったりとする鳥を彼は得意げに掲げ、しかもその場で頭を切り落とした。
その日からリンゼイは三日三晩寝込み、頭のない鳥に追い掛け回される悪夢にうなされた。
この苦い記憶は消そうにも頭にこびりつき、スチュワートを見るだけで思い出してしまい、彼のことが苦手……もっと言うならば、大嫌いなのだ。
なのにスチュワートときたらなにかとリンゼイを構いたがり、城に来ては嫌がるリンゼイを追いかけては意地悪をし、満足そうに帰っていく。
まるでそう、彼にとってリンゼイは飽きのこない玩具のように。
「お茶くらいいいだろ! リンゼイの好きなお菓子をたくさん持ってきてやったんだぞ」
「いらない! いらないから私に構わないで!!」
眼にいっぱい涙を溜めて必死に懇願する。が、それがスチュワートの意にそぐわなかったのか、彼はぐん、と距離を縮めてきた。
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