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王女様の不埒な暴走
第12章 エピローグ
その馬車には見覚えがあった。ラインハルトの王城で使用人が臨時に使うものだ。
「本人って……?」
どういう意味だろう、と考えていれば、馬車が停まり、一人の女性が駆けてきた。
「リンゼイ様!」
パタパタと駆けてくるのはライラだった。彼女を認め、リンゼイは眼を輝かす。
「ライラ! 来てくれたのね!」
「はい! お二人が今日こちらにいらっしゃると聞いてはじっとしていられませんよ!」
「あなたにまた逢えて嬉しいわ。それにライラが届けてくれたジョシュアのプレゼントにどれだけ励まされたか」
ライラの顔を見ると、古い友人に逢ったような気分になり、なんだか心が落ち着く。
「リンゼイ様。先ほどのこと、本人に聞いてみては?」
「え? なんのこと?」
「ですからルビーの小説がどうの、というやつですよ」
「ちょ……! ジョシュアさん! それ、言わない約束じゃないですか!!」
「え? どういうこと?」
ルビーの小説をどうしてライラに聞かなければならないのだろうか。それに本人とは……?
リンゼイが混乱に頭を捻らせている前で、ライラは罰が悪そうにしている。するとジョシュアは当然のことのように言い放った。
「ライラがルビー・ベッツと言っているんですよ」
「……え? えぇっ!?」
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