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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう



「お父さまのおっしゃることはごもっともですわ。結婚前の女はドレスを整え、肌を磨き、嫁ぎ先に失礼のないよう準備をするものですものね」


「わかっているならもう下がりなさい」


 姉が父に同意し、リンゼイは困惑を隠せない。ここに来て姉も考えを変えてしまったのだろうか……。もう一度ジョシュアに逢うのは諦めなくてはいけないのか。


 駄目だ、どうしてもそれだけは諦められない、とリンゼイは言い付けを破り口を開きかけると。


「ですが一番大切な準備──リンゼイの心の準備が整っていませんわ」


 姉は父に毅然と言って、開きかけた唇をそのままにし、姉を見た。


「なに?」


「お父さまもご存知の通り、リンゼイは男性に免疫がありません。男性と触れ合うダンスすら躊躇してしまうほど」


「そこでラインハルト行き、というわけですよ」


 姉を援護し、兄が優雅に微笑む。


「聞くところによると、ラインハルトでは女性も学校へ通うそうです。学生生活を通し、異性と交流していくうちに、リンゼイも少しは男に慣れるのではないかと、僕たちは考えたわけなんです」


 ラインハルトへ行き、ジョシュアに逢うことだけを考えていて、具体的にどう過ごすかや理由を考えていなかったが、姉たちはしっかりと考えていてくれたみたいだ。








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