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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
「国のためというならば、スチュワートの同行を勧めてみるのも手か……。異国で彼と過ごせばリンゼイとの距離も縮まり、一石二鳥というものだな」
リンゼイをラインハルトへと行かせる方向で考えを固め始めたのか父は独りごつも、スチュワートが一緒だなんてとんでもないとリンゼイは内心焦る。しかし、兄は冷静に進言する。
「それはなりません、父上。先日伯爵領の鉱山で落石があり、多数の怪我人が出たばかりです。それなのに領主の嫡男がこの時期に領地を離れれば民の不興をかいます」
「うむ……、そうだったな……」
「それに申し上げたではありませんか。この留学はリンゼイが異性への免疫をつけ、心の準備をするためのものであると。スチュワートが一緒では前提が崩れてしまいます。ですのでラインハルトへ送り届ける際、当国の護衛はつけますが、その後はすべてあちらの国にお任せし、使用人や護衛も引き上げさせようと考えております」
兄はリンゼイがラインハルトでジョシュアに接触しやすいよう、当然考えられる父の手が掛かった見張り役をも付かせないように算段を練っていたらしい。
理由としてはかなり強引な気もし、父が納得してくれるか疑わしかったが、兄はさらに駄目押しをする。
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