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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
「もちろんまだラインハルトから返答をいただいたわけではありませんが、リンゼイの留学のお許しをいただければ、あちらの王城に住まわせてもらえるのが理想です。そうしますと国王を伴う訪問でもないのに、我が国の使用人が長期間王城をうろつくのはラインハルトにとってあまり良いことではないでしょう」
長きに渡って国交のある両国。過去、幾度となく互いの国を要人が行き来してきた。両国の関係は良好で信頼もある。しかし国同士の関係というのは、小さなことで崩れるものだ。
一国の王女を預けるのだから、護衛や使用人を多数付けても当然のように思われるが、裏を返せばラインハルトを信用していません、と言っているようなものだ。
数年前、ラインハルトの国王、王妃、王太子が訪問したときでさえ、連れてくる使用人を最小限にし、護衛も滞在中はカンターヌの者に任せていたのが思い出される。あれはラインハルトがカンターヌを信頼し、この先も良好な関係を続けていこうという誠意だったのだ。
「……ジュドの言いたいことはわかった。王妃とも話し合い、検討してみよう」
父は険しい顔つきながらも折れる兆しを見せてくれる。
つまりそれは、ジョシュアともう一度逢える機会が巡ってくるかもしれないということだ。
確定したわけではないが逸る気持ちが抑えられず、今にも歓喜して飛び上がりたくなる気分のリンゼイを察してか、姉と兄によって早々に部屋から連れ出された。
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