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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう



 ──数日後。リンゼイの留学が正式に決定した。


 この報せを受けたリンゼイは単純に喜んでばかりいられなかった。なぜなら同時に別の報せも受けたからだ。


 二ヶ月という短い留学の後、すぐに婚約を発表し、さらにその三ヶ月後に結婚の儀を執り行うのが留学を許す条件だったのだ。





「──大変なことになったわね」


 複雑な気持ちで自室のソファーで座り、独り期待と不安に押しつぶされそうになっているリンゼイの元に、同じ報せを受けた姉が嫁ぎ先から駆けつけてくれた。


 短期間で何度も実家である王城に足を運ぶのは姉としても容易ではないはずなのに、こうしてリンゼイを心配し来てくれることを深く感謝せずにはいられない。


「お姉さまも大変でしょうのに、私のために来てくださってありがとうございます」


「いいのよ。当たり前じゃない。可愛い妹のためだもの。それにリンゼイだって知ってるでしょ? 夫はとーっても理解ある方なの。妹の様子を見に行くという小さな我が儘くらいで文句言う方じゃないわ」


「そう、でしたね……」


 幸せな結婚生活を送る姉を見ていると、とても羨ましくなる。


 自分には決して訪れない未来だからだ。






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