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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう




「浮かない顔してるわね。やっと好きな方と逢えるのよ? スチュワートとのことだって、まだ正式なものじゃないわ。リンゼイが彼と結ばれさえすれば、どうとでもなるわ」


「お姉さま……」


 本当にそうだろうか……。


 ジョシュアの近くに行き、逢えるのはもちろん嬉しい。だが逢ったところでたった二ヶ月で彼の心を射止められるだろうか。


 射止めたとしても身分を重んじる父が、スチュワートととの結婚を覆してまでジョシュアと結婚を認めるはずがない。


 姉は上手くいくと思っているようだが、リンゼイにはどうしてもそう思えないのだ。


 ジョシュアと逢うことを望み、協力をしてくれた姉に悲観的なことを口にすべきではないと、リンゼイは弱々しいながら微笑んでみせるが、やはり心に広がる暗雲は晴れない。


 彼の傍に行けるだけで満足しなければいけないのは解ってはいるのだ。けれど引き換えに承知していなかったスチュワートとの結婚を受け入れなくてはならず、リンゼイの心を曇らせていた。


「スチュワートのことは予想の範疇内ね。お父さまの言い出しそうなことだわ」


「そうなのですか?」


「ええ。だからこそ何としてもリンゼイは彼と結ばれなきゃならないの」


「結ばれるって……」


 とそこへ金で縁取られる扉を叩く音がし、侍女の声が外からする。







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