この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
「リンゼイ。留学すると聞いたんだが……そのことで少し話がしたい。申し訳ないですが義姉上様。外していただけますか?」
姉の手前、紳士的な態度を崩しはしないスチュワートだったが、二人きりになれば喚き散らすに違いない。子供の時分と違って逃げ回ったりはしないが、彼と二人になるなんて耐えられそうにない。
「スチュワート。申し訳ないけどお姉さまとお話ししてるの。それにあなたと話すことなんてないわ」
「俺にはある。いいから話そう」
スチュワートはリンゼイに近寄ってきて、腕を取ろうとした。だが寸でのところで姉が立ち塞がった。
「聞いていなかったの? リンゼイは話はないと言ったのよ」
「義姉上様……」
「どうしてもというなら私も同席させていただくわ。あなたたちは婚約する予定といっても、まだ正式なものじゃないわ。未婚の淑女が男性と二人きりになるのは姉として……国の秩序を守る王族の一員として見過ごせません」
きっぱりと言い切る姉に、さすがのスチュワートもこれ以上食い下がっても無駄だと察し、しぶしぶ承諾した。
姉のこういうところも羨ましく、そして憧れる。姉くらい堂々としていれば、スチュワートだってこうもリンゼイに対して傲慢に接しなかったかもしれないのに。
.