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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう




 侍女が運んできた温かな紅茶や銀の食器に美しく盛り付けられたお菓子の数々。陽射しの降り注ぐテラスでそれらを囲み、いつもなら和やかにティータイムを愉しむところだが、重々しい雰囲気が邪魔をして好物のお菓子に手を付ける気にならない。


 だがスチュワートときたら重い空気を感じてさえいないように、ほくほくのカボチャで作られたパンプキンパイを食べては文句を言っている。


「大体、俺に相談もなしに留学を決めるなんて。王さまのお許しがあったとしても、俺は認めないから。俺の領地であった事故は聞き及んでるんだろ? だったらリンゼイも婚約者として慰問してくれてもいいだろ。留学なんかより、それがキミの務めじゃないのか」


 と、このような内容を延々とリンゼイに愚痴り、留学を取りやめるように説得しに来たわけだ。


「婚約を発表されてもいないのに、あなたの領地に私が行くのは変でしょ? 慰問ならお父さまとお兄さまがされたわ。王女といってもカンターヌでは女はあまり国政に携わらないでしょ? それなのに私がでしゃばるのは良くないわ」


 リンゼイもどうにかしてスチュワートを納得させ、早く帰ってもらおうと頑張る。ただ彼を怒らせると厄介なので、言葉を選びつつ居心地の悪さに耐えている。





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