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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
「そうだとしても、留学の話とは別だ。なぜ俺に一言も相談してくれなかった? もう婚約の話は出ていただろう。一言くらい言うべきだった」
「それは……」
スチュワートと結婚する気などリンゼイにはなかったからだ、とは言えない。いや、言ってしまいたいのはやまやまだが、ようやくラインハルト行きの許しを得たのに、事を荒立てれば取り消されてしまうだろう。
ジョシュアと結ばれない運命にあると憂いはしたリンゼイだったが、彼に逢いたい気持ちは決して揺らがない。
彼の心を射止められるにせよ、射止められないにせよ、己の想いに決着をつけなければ前に進めないのだと、誰よりもリンゼイ自身が知っているからだ。
「あなたには悪いと思っているのだけれど、もう決めたことなの。だからお願い。もう何も言わないで」
「謝罪が聞きたいわけじゃない。ただ一言、行かないと言ってくれればいいだけだ」
「スチュワート……」
シュチュワートの頑固さは筋金入りだ。姉が評したように、言い換えれば一途なのだろう。しかし彼のそんな性格は周囲を、特にリンゼイを困らせる厄介なものでしかない。
彼を説得し、言いくるめられるだけの話術がないリンゼイは、俯いて下唇を噛んだ。
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