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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう




 その夜、家族のみの晩餐を終え、入浴を済ませたリンゼイは寝台に横たわったものの、なかなか寝付けずにいた。色々なことを考えているうち、頭が冴えてしまったのだ。


 ジョシュアに逢える期待、たった独りで他国へ行く不安、そしてスチュワートを騙している罪悪感。


 横柄で横暴な彼の態度に問題はあるが、だからといって騙していい理由にはならないのだ。彼はリンゼイが帰国したのち、結婚することを微塵も疑っていないのに、リンゼイは自らの望みを叶えるために留学をする。これはスチュワートへの裏切り以外、なんでもない。


 もちろん、父母へも同様の気持ちだ。結婚へ向けて気持ちの準備をするため、国の為だと偽って行くのだ。今さらながら自分がしようとしていることは、とてつもなく酷いことだと実感してきてリンゼイは震えずにいられない。


 上掛けに包まり、身体を小刻みに震わせてどのくらい経っただろうか。不意に部屋の扉が叩かれた。


(こんな時間に誰……?)


 リンゼイは不思議に思いながらサイドテーブルに置いてあるオイルランプに火を灯し、扉にそっと近づく。


「リンゼイ? 私よ。起きてる?」


 閉じられた扉の先から聴こえる、囁くような小声の主は姉だった。






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