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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
姉の話によると、この秘薬とやらはその昔、カンターヌの王が多くの側室をはべらせており、当代の王妃が夫の気を引くために作ったのが始まりだそうだ。
調合は王家専属の薬師の長のみに伝えられ、現在はほとんど使われなくなったものの、密かに僅かな量を備蓄しているらしい。
この秘薬の存在は王家でも一握りしか知らされておらず、リンゼイですら今の今まで聞いたことすらなかった。
「私も婚礼を挙げてからお母さまに聞いたのよ。つまり、夫となった男性と夜の営みをするようになってから教えられたわ。お兄さまは結婚する前から聞かされてたみたいだけど」
あっけらかんと男女のことについて匂わす話をされ、リンゼイは赤くなって言葉を失う。
どうやらこの秘薬とやらは、平たく言えば媚薬の類らしい。だが姉はこんな物を渡し、どうしろというのだろうか。リンゼイは動揺と困惑からやはり言葉を失ったままでいると。
「ああ、心配しないで。効果は実証してあるから。それに中毒性や副作用もない、とーっても安心安全なものよ」
そういうことを訊きたいのではなかったのだが……。それにしても実証とは? まさか義兄で試したのだろうか……? この姉ならばやりかねないが、訊くのは恐ろしくて訊けなかった。
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