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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる
ようやく……本当にようやくこの日を迎えられた。
走り出した馬車の中でリンゼイは胸に手を当て、感慨深く思う。
ジョシュアを最後に見た日から四年余りの時が流れたというのもあるが、ラインハルト行きが決定してからも様々なことがあったのだ。
娘が心配なのか、はたまた王女がお付の者を従えずに二ヶ月も他国に滞在するのが気に食わないのか、父が侍女を数人付けると言い出したりもした。兄がはじめに両国の信頼関係を保つため、滞在中はラインハルトにすべての世話を任せると提案していたにもかかわらずだ。
世話役だと言えば聞こえはいいが、これでは体のいい見張り役だ。リンゼイが問題を起こしたり、特定の男性と仲良くなればすべて父に報告され、即刻強制送還されてしまうだろう。
もしや父はこの留学に他意があると勘繰っているのではと肝を冷やした。
だがこの問題も、兄の再三による説得でどうにか当初の予定に従い、護衛や従者もラインハルトに着いた時点で帰国させるにおさまった。
しかし一難去ってまた一難。
姉に追い払われたスチュワートだったが、姉が嫁ぎ先の領地に帰ったのを見計らったように、日々王城に通い詰めだしたのだ。
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