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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる
父に拝謁を求める言伝を侍女に頼もうとするリンゼイを、スチュワートは焦って止めた。
「ま、待ってくれ! リンゼイを召使いだなんて思ってないよ! 俺が悪かったから……王さまに婚約の取り消しを申し出ないでくれ」
「じゃあ私の留学の件について、二度と触れないでくれる?」
「う……。あ、あぁわかった」
このようなやり取りのあと、どうにかスチュワートを黙らせるのに成功したのだが……。
彼は留学について触れなくなったものの、今度はことあるごとにリンゼイを伯爵領に招こうとしだした。
領地へ自分と共に行き、領民に一度顔を見せてやってくれないか、と。
リンゼイは察した。彼の領地へ行けば何か理由をつけ、長く留めさせられるだろうことを。
「なにか変だな……。スチュワートはどうしてリンゼイとの結婚を急いでるんだろう」
誘いもどうにか断ったあと兄の書斎に呼ばれ、難しい顔をした兄がそう漏らした。
「急いでる?」
「うん。僕にはそんな風に感じたんだ。焦っているようにも見える」
言われてみれば、思い当たる節はある。たった二ヶ月の留学を止めようとしたりするのは、どうにもおかしな話だ。何年もというなら別だが。
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