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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる




「お兄さまはスチュワートが結婚を急いでるには、裏があるとお思いなんですね?」


「率直にいえばそうだね。だから僕のほうで調べてみるよ。リンゼイはなるべく城の外に出ず、スチュワートに会わないようにして。衛兵にもリンゼイの送迎パーティーまで、国政に関係する客以外通さないよう伝えておくから」


「わかりました」





 スチュワートの“裏”とやらは気がかりだったが、兄に一任することにした。下手にリンゼイが動けば、こちらの動向が彼に漏れてしまうかもしれないからだ。そのくらいの分別は彼女にもある。


 こうして様々な気がかりを残して旅立つに至ったのだが、最たる気がかりはこの途方もない計画が上手くいくか否かだ。


 ジョシュアに想いが告げられず……告げたとして、彼の心を射止められなければ兄や姉の協力も努力も無駄にし、リンゼイの身体もあの無骨な男に拓かれるだろう。


 会える喜びと同じくらい憂いもある。


 家族と離れ、見知らぬ土地の邸に泊まることも初めてだったせいか、リンゼイは宿泊する先々の邸ではほとんど睡眠がとれず、馬車から眺める景色も楽しめなかった。


 ラインハルトの荘厳な王城に着くころには、リンゼイは疲れ果ててしまっていた。







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