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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる




 だがその疲れも、王城の見事さに吹き飛んだ。


 カンターヌの王城よりも広い敷地を誇り、庭園の植込みは美しく刈り込まれ手入れが行き届いている。


 圧巻なのは城の高さだ。高い城壁に囲まれる王城は厳かで、別棟と思われる建物は三角屋根になっていた。


 居館の前に馬車が停車し、従者が扉を開けると、王をはじめとし王妃やレオナルド王太子、それに使用人が一同揃って出迎えてくれた。


 そこには夢にまで見たジョシュアの姿があり、瞬く間に見つけたリンゼイは息が止まりそうになる。


 周りの景色や人物が霞み、彼の姿だけが浮き彫りになる。時間さえ止まった感覚に陥る。 

 王からの挨拶がなければ我を忘れ、駆けだして飛びついていたかもしれない。


「リンゼイ王女殿下、ようこそ我がラインハルト王城へお越しくだされた」


「陛下御自らのお出迎え感謝いたします。二ヶ月間お世話になります」


 ハッとなったリンゼイだったが、動揺をせずに挨拶を返せた自分を褒めてあげたいくらいだ。


 人の眼のある前で迂闊な行動をしてしまえば、すべてが水の泡だ。気を抜けばジョシュアを眼で追ってしまいそうになるが、礼を尽くしてくれる王たちに失礼のないよう、必死に自分を抑えた。





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