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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり



 ──どさり、となにか固いものを半身に受けたのはその直後。


 随分と長い時間、落ちる恐怖に晒されていたと感じていたが、その固いものの感触を受けるまでほんの数秒といったところだろう。


 だがリンゼイは未だ身体を竦ませ、息をするのも忘れていると。


「──大丈夫でございますか、リンゼイ王女さま」


 低い声音であるが、涼やかでいてよく通る声が頭上から降ってきた。


 リンゼイは恐々と閉じた瞼をそろりと開ける。


 すると黄金に輝く上質な絹糸のような髪の下、サファイア色の瞳がリンゼイを心配そうに覗きこんでいた。


 リンゼイは先ほどまでの恐怖を一時忘れ、放心して自分を受け止めてくれた彼を見詰める。


 すっと通った鼻梁に切れ長のサファイア色の瞳は怜悧で、きりりとした眉が彼の怜悧な眼差しを一層際立てている。


 黄金の髪はすっきりと短く、やや長めの前髪は上品に斜めへと流し、太陽の光に反射してキラキラと眩い。


 彼は小柄なリンゼイからしたら見上げるほど長躯で、執事のお仕着せを身に纏っていなければ、貴族となんら遜色ないくらいに高貴な雰囲気を漂わせていた。








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