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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
「リンゼイ王女さま? どこかお怪我でもされましたか?」
「あ……」
再度呼びかけられ、リンゼイはようやく我に返る。
「リンゼイ!」
とそこへ、追いついたスチュワートが駆け寄ってきた。
「大丈夫か!? 怪我はないか!?」
蒼白な顔をしているスチュワート。相当な心配をかけてしまったのだろうが、リンゼイの肩を掴もうとする手に、普段からの条件反射で「やっ」と小さく悲鳴を上げて身体を強張らせてしまう。
ひどく傷ついた顔をしたスチュワートは、次の瞬間には顔を赤らめ怒りをあらわにする。
「なんだよ! 人が心配してるのに! だいたいそこのお前! いつまでリンゼイに触っているんだ!」
我が儘放題に育ち、使用人を人とも思わないのはなにも貴族の育ちの中でスチュワートだけではないが、あろうことかリンゼイを助けた彼に怒りの矛先を向け、スチュワートは彼の手をバシリと叩いて振り払った。
「スチュワート! なにをするの! 彼は……」
「私の執事がなにか失礼でも?」
リンゼイがスチュワートの非礼を窘めようとすると、階段を昇ってくる人物が間に入ってきた。
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