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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる
数日ラインハルトで暮らしただけで、カンターヌとこの国は全く別物だとリンゼイには解ってきた。
最も驚いたのは主人と使用人の近さだ。レオナルドが王城で使用人と談笑しているのを見かけたときは驚愕した。カンターヌの王城でもしリンゼイがそんなことをしたら、父母から厳しく窘められただろう光景がそこにあった。
共にいたライラに思わず問いかける。
「ねえ、ライラ。ラインハルトではいつもああなの?」
「ああ、とは?」
「その……主人と使用人があんな風に愉しく会話しているものなのかなって」
色とりどりの花が咲く庭園で庭師と話すレオナルドの元に、通りかかった使用人が集まってくる。遠目でも愉しそうな雰囲気が伝わる。
「そうですね……。ラインハルト全体というわけではないですけど、ここでは普通ですよ」
ライラの話によると、現国王や王妃が堅苦しいのを嫌い、時間をかけて距離を縮めていったそうだ。その考えはレオナルドにも引き継がれ、彼もまた使用人をただの使用人とせず、家族同様に扱っているらしい。
だが使用人たちは決して王や王妃、レオナルドの厚意に甘えるでもなく、分別をわきまえもしていて。
とても良いバランスを保った信頼関係が彼らから感じられた。
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