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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる




 まずとてもお喋りが好きな人で、連日行われた晩餐会の準備の間中、会話が途切れたことがなかった。


 それなのにふとぼんやりと上の空になったりもする。


「──それでね、お姉さまが……ライラ? 聞いてる?」


 兄や姉の話をしていたときも、ライラはコルセットを締める手を休め、なにか考え事をしだした。しかも何やらブツブツと独り言を言っている。


「カンターヌいちの美女と噂の王女さまが……なかなかに豪胆な性格……これは……え? 聞いてますとも!」


 ハッとなったライラに力一杯コルセットを締めつけられ、リンゼイは息が止まりそうになり、咽込んでしまったこともあった。


 そんなライラが一番興味を示したのは恋の話だ。とは言え自身の想い人がジョシュアだと明かすわけにもいかなが。


「リンゼイ様もお年頃ですし、好きな方とかいらっしゃらないんですか?」


「えっと、それは……」


「あ、そのお顔はいらっしゃいますね? そうですよね!?」


 どうにも隠し事が苦手らしいリンゼイ。姉にだってすぐバレてしまったのを思い出す。


「そ、そういうライラはどうなの? 恋人はいるの?」


「私ですか? そりゃあ好きな人くらいいますよぉ」


 口許に手を当て、ふふふとライラは笑う。






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