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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる



 ライラの言わんとするところは、リンゼイも感じていた。


 ある日、王都国立学校から帰ってきたリンゼイは、その日の夜侯爵家で開かれる晩餐会に招かれていたのだが、慣れない学校生活の疲れから一息つこうとバルコニーにお茶を運んでもらった。


 ライラはリンゼイのドレスや身に着ける宝石類の準備に追われており、給仕してくれたのはジョシュアだった。


「あ、ありがとうございます」


 ジョシュアを前にすると緊張してしまい、胸が高鳴って口籠ってしまう。


 たくさん話したいという気持ちはあるのだが、どうにも上手くいかない。だがもたもたしていれば時間だけが過ぎ、何も出来ないうちに帰国が迫ってしまうだけだ。


 リンゼイは思い切ってジョシュアをお茶に誘う。


「あの……ジョシュアさんも一緒にいかがですか」


 対面にある椅子を少し震えそうになる手の平で示す。たったこれだけ言うのに緊張からか喉がカラカラで、今しがた淹れられたばかりのお茶を飲み干したいくらいだ。


「お申し出は大変光栄ですが、本来使用人と主が共にテーブルにつくのはあってはならないことです」


「それはそうですが……。ここでは……殿下のお邸では皆さんそうしていると聞きました。だから……」


「レオ様の私邸は特別です。あの方がお許しになっておられますから。ですがここは国の要である王城。来城される貴族の方の眼もあります。私が規律を乱すような行動をすれば、レオ様の評価にも繋がってしまいますので、どうかご勘弁を」






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