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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる




 ジョシュアの対応はカンターヌでは普通だ。寧ろ執事として褒められるべき態度。けれどこの国の王城の使用人たちは、敬意を持ちつつも親しみを込めた気軽さで、リンゼイに居心地のいい空間を提供してくれた。


 だがジョシュアはこの時以外も──人目を気にしない場所であっても──お茶に誘ってみてのだが、従者の態度を崩さなかったのだ。それは頑ななまでに。





「標的は手強いですが、私が知ったからにはリンゼイ様に協力いたしますからね!」


 リンゼイの両手を包み込んでライラの両手が握る。身近に味方がいるのはとても心強い。


 一度や二度断られたぐらいでへこたれている場合ではないのだ。遠く離れた祖国にも労を厭わず手を尽くしてくれた兄姉がいて、まだ会って間もないライラも応援してくれる。


「ありがとう、ライラ……! 私、頑張るわ」


「はい! その意気です!」


 二人頷き合う様は、長年の親友のようだ。


 ライラは宣言通り、この時からリンゼイの恋が成就するよう協力してくれるようになった。


 翌朝、モーニングティーを運んできたのも、朝食の給仕も今まではライラだったのが、彼女はどうやったのかジョシュアの仕事にしてしまったのだ。





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